予言の自己成就による格差

風説の流布が罪とされる訳は,「予言の自己成就」という現象が起こるから。この用語は,アメリカの社会学者マートンにより,次のように定式化されている。 

「自己成就的予言(self-fulfiling prophecy)とは、最初の誤った状況の規定が新しい行動を呼び起こし、その行動が当初の誤った考えを真実なものとすることである。」

例としてよくあげられのは,ある銀行が危ないという噂を聞いて人々が預金を下ろすという行動をとることで,本当に銀行が倒産してしまう,というもの。
これと似たものに「アナウンス効果」があり,選挙前の世論調査にかかる報道が,投票行動に影響を与えるといった事例で知られている。
このような意図せざる結果を招く現象は,いうまでもなく人々の行為をラショナルフール(合理的な愚か者)となしうるし,社会的ジレンマとなる場合もある。…と,さっき気づいた。人々の行動を規定するのは国勢調査だ。

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回避できない悲劇

社会的ジレンマのやっかいなところは,予見される悲劇的な結末を個人の力では解決できないとこ。リースマンの「孤独な群衆」には,自己にとって最適とされる合理的な選択を社会のために乗り越えられる「公衆」出現への可能性が書かれていたけど,今の経済合理主義的世の中ではちょっとやそっとでは回避できなさそう,と悲観的になる。

「合理的な愚か者」に関する参考書籍を,というリクエストに応えて,安価で語り口の優しい新書をご紹介。
確か,著者は北大の先生だよ。
副題の「環境破壊からいじめまで」というのが社会学の間口の広さが象徴的でナイス(w

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産科医不足も社会的ジレンマさ

毎日放送のブロードキャスターを見ている。
榊原某という学者がコメンテーターとして出演しているのだが,こういう輩がとある社会現象を「合理的選択の結果だ」と語るとき,それはラショナル・フールであることが多いと思う。ラショナル・フール今日はいくつ見つけられるかな。
日本の社会的ジレンマを見つけたらログする目的で,ラショナル・フールのカテゴリを作ってみた。ネタ帳的ではあるが,実は解決すべき逼迫した問題が列挙されると思う。増えなきゃいいな,とか思いつつ。

ちなみにというか念のため
ラショナル・フール ⇒ 個人個人は合理的な選択をしたはずなのに,社会全体では,そうしなかった場合よりコストが必要になるというとき,そうした行動を選択した個人は「合理的な愚か者(rational fool)」と呼ばれる。

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少子化について

1月16日付けの記事にフランスの出生率に関するニュースがあった。以下はニュースサイトから転載したもの。

仏の出生率、2.005に上昇・欧州位置の多産国に(NIKKEI NET:国際ニュース 1月16日)
仏国立統計経済研究所(INSEE)が16日発表した2006年の人口動態統計によると、同年の出生率が2.005に上昇した。「欧州一の多産国になっ た」(人口問題研究部)としている。子育て支援策の整備を受けて働く女性の高齢での出産や3人目以上の出産が増え、婚外子も増加している。
 同年の出生数は前年比2万3100人増の83万900人で、過去25年で最多だった。この結果、15―50歳の女性が一生の間に生む子供の数を示す合計特殊出生率(速報値)は前年比0.062ポイント上昇し、統計がさかのぼれる1980年以降の最高を更新した。
 第一子の出産年齢は29.8歳と「晩婚・晩産」傾向は続くものの、30代以降の第二子、第三子の出産が増えている。婚姻件数は減少しているが、事実婚の増加が出産増を支えている。また、移民の出生率が平均より高いため、過去の移民受け入れが出生率上昇につながっている。
 仏の出生率は1990年代に1.6まで低下した後、各種手当や育児休業など出産・育児支援策が拡充され、上昇に転じた。(パリ=野見山祐史)(01:53)

ブログを見ていると,出生率上昇の主たる原因は「移民だろ」と言い放つ人もいるのだが,そうすると,欧州にはもっと出生率が上昇してもよさそうな国があるので(例えば出生率が低い方から2番目のドイツとか),それだけではないだろうと私は思う。フランス在住の人々のブログを見ていると,やはりこの関連の諸手当が充実しているように私にはみえるのだ。

少子化は,社会的ジレンマの一つだと私は思う。「日本人増えすぎ」という意見も分かるんだけど,少子化による急激な人口減少や,いびつな人口ピラミッドとなる年齢構成は,マーケットの規模縮小や混乱により社会の維持を危うくする,国家の存亡に関わる問題だと思うから。(参考:2007年展望:「人口減少でも繁栄」に疑問)

で,どんなジレンマかというと…。

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